Tessey Ueno's blog

古楽系弦楽器を演奏する上野哲生のブログ。 近況や音楽の話だけでなく、政治や趣味の話題まで、極めて個人的なブログ。

2016/08

リオの閉会式の東京五輪セレモニー。「間に合わない」とか言っているところから安倍晋三が何らかの方法でワープするのは見え見えだったが、「君が代」のアレンジと3Dからダンスの流れはなかなか良かった。大手を振って東京五輪を歓迎しているわけでは無いが、そこまでの作品を作り上げたスタッフ達には賛辞を送りたいと思う。


特に「君が代」には「やられた」感があった。椎名林檎は東京事変の頃から凄いオリジナリティとセンスのアーティストだと思っていたが、この演出を兼ねた音楽監督に起用されるのは凄い。「君が代」のアレンジは三宅純という作曲家だが、おそらく椎名林檎のセンスはこのイメージのアレンジを強く要求したことだろう。

 

具体的にどこに「やられた」と思ったかと言うと、僕は過去にこれと似たようなタイプのアレンジを作っていたので「先にやられた」感である。三宅氏のアレンジは処理がブルガリアの合唱の和音に近いが、僕のはオルガヌム平行風の発展形で響き自体は近代的なものだ。でも知らないで聞いてみるとリオを聞いて真似したようなイメージしか無いだろう。だからもう使えない。「先にやられた」なのだ。でもきっとこんなスタイルでやってみたいと思った作曲家は沢山いるに違いない。


僕の場合は目的は何も無く(コンサートに盛込む素材でないし)、中世音楽をやっているうちにグレゴリアン・チャントやオルガヌムで「君が代」をやってみたいと思っていた。「君が代」は素晴しい曲という以外、使う事には何の思想も無いし、天皇を讃える歌でもないと思っている。


これだけ単純な教会旋法的な素材なので様々な形に展開できる。僕は他にも三つのタイプのアレンジを作っている。西洋のお城に響くようなアレンジで。

ここにアップしたものは5年程前に作って、何かチャンスがあれば使おうと思っていたものの、そう言うわけで日の目を見ないまま消えてしまうので、せっかくなら聴いてもらいたいと思いました。もちろん生演奏でなくサンプリングの擬似的なでもです。リンクをクリックしないと聴けないかな?


 

秋田湯沢市のスーパー三姉妹、上野律子、松田祐子、青柳昌子の父、博治さんの88歳=米寿の会を湯沢のホテル出催しました。本当に久しぶりに娘婿から孫まで勢揃い。せっかくだからお祝に第九の「喜びの歌」を替歌にして讃えようではないかと、娘と婿と孫達で四部合唱にして歌おうという事になりました。


音楽は好きでも専門家はほとんどいない中、各パートを一生懸命音取りをして頑張りました。合わせたのは当日の始る直前2回のみ。その割りにはよく出来た素晴しいハーモニーだと思います。


博治さんをイメージする言葉を孫や婿達に聞いたところなぜか四字熟語ばかり出て来たので、ちょうど第九の音符と拍子に面白いように当るので(どこかドイツ語っぽい)それを冒頭に使いました。

 

(義父であり、手前味噌になる覚悟で言いますが)菅原博治さんは獣医でありながら一時は400頭近くの牛を飼われ、様々な形で秋田県畜産会の会長などを務められました。詞の通り豪毅でありながら困った人たちには優しく力になり、子どもや人が大好きで美味しいものと酒が好きで、誰からもその生き方考え方を師と仰がれるほどの、まさしく湯沢にその人ありと言われる誇り高き人物なのです。


博治さん、どうぞ天寿まで長生きしてください。

 

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