リオの閉会式の東京五輪セレモニー。「間に合わない」とか言っているところから安倍晋三が何らかの方法でワープするのは見え見えだったが、「君が代」のアレンジと3Dからダンスの流れはなかなか良かった。大手を振って東京五輪を歓迎しているわけでは無いが、そこまでの作品を作り上げたスタッフ達には賛辞を送りたいと思う。
特に「君が代」には「やられた」感があった。椎名林檎は東京事変の頃から凄いオリジナリティとセンスのアーティストだと思っていたが、この演出を兼ねた音楽監督に起用されるのは凄い。「君が代」のアレンジは三宅純という作曲家だが、おそらく椎名林檎のセンスはこのイメージのアレンジを強く要求したことだろう。
具体的にどこに「やられた」と思ったかと言うと、僕は過去にこれと似たようなタイプのアレンジを作っていたので「先にやられた」感である。三宅氏のアレンジは処理がブルガリアの合唱の和音に近いが、僕のはオルガヌム平行風の発展形で響き自体は近代的なものだ。でも知らないで聞いてみるとリオを聞いて真似したようなイメージしか無いだろう。だからもう使えない。「先にやられた」なのだ。でもきっとこんなスタイルでやってみたいと思った作曲家は沢山いるに違いない。
僕の場合は目的は何も無く(コンサートに盛込む素材でないし)、中世音楽をやっているうちにグレゴリアン・チャントやオルガヌムで「君が代」をやってみたいと思っていた。「君が代」は素晴しい曲という以外、使う事には何の思想も無いし、天皇を讃える歌でもないと思っている。
これだけ単純な教会旋法的な素材なので様々な形に展開できる。僕は他にも三つのタイプのアレンジを作っている。西洋のお城に響くようなアレンジで。
ここにアップしたものは5年程前に作って、何かチャンスがあれば使おうと思っていたものの、そう言うわけで日の目を見ないまま消えてしまうので、せっかくなら聴いてもらいたいと思いました。もちろん生演奏でなくサンプリングの擬似的なでもです。リンクをクリックしないと聴けないかな?