明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
このメールは上野哲生のアドレス帳よりBBC配信させて頂いております。

昨年はお休みしましたが、2018年の新しい動く年賀状が出来ました。
今年は目に見えない世界を描きたくて詩作を考えてみましたが、金子みすゞの詩がまさにぴったりだったのでそれで歌を作りました。
その歌と年賀のコラージュが動き出す動画です。
今回は余りおちゃらけないで、美しく描きたいと思いました。
お楽しみ下さい。



<あとがき>

勘違いにも甚だしいことが多々あります。自分のことです。

この動画年賀の金子みすゞの詩、著名な歌手の方から感想を頂いた後、
「"かわら"は、川原だったんですか?てっきり屋根の瓦かと思っていました!」
と言われました。
良く考えたら確かに瓦の隙間にたんぽぽが隠れているのであって、川原の隙間ではおかしいのです。

ただ、なぜか僕はこの間違った解釈の部分が映像的に好きで、タンポポわたげが水の隙間から無限に現れてくるような、ある意味シュールな感覚があり、そのままこんな映像を作ってしまったのです。
今思うと恥ずかしさでいたたまれない気持です。

まあ勘違いがあるからこういった展開のものが生れたと、勝手に思い込む事にします。
失敗は成功の元ではないですが、世の中に勘違いから生れたものは様々あるでしょう。

世阿弥の書に「風姿花伝」という有名な能の心得を書いたものがあります。舞台で演じる人は一度は目を通した方が良い書物だと思います。
この事は何かあるごとに書きましたが、僕は恥ずかしい事に「風姿花伝」を「風の姿を花が伝える」と解釈したのです。
風の姿は見えないけれど、花がそよぐ姿によって風のかたち、あるいは風の心まで伝えるようになれる・・・。表現とはそういうものだと。
僕はなんて素敵なタイトルなんだろう、これだけで真理を言い当てていると思いました。それから僕は見えない何かを伝える表現者として、常にこの霊媒師みたいな立ち位置で音楽活動をやっていくことになるのです。
(本当は「風姿」で姿、「花伝」で書を表すのであり、こんな解釈はありません)

今年「見えないもの」にテーマを絞ったのも偶然ではありますが、まさに世阿弥の「初心忘るべからず」を意識したまでです。
別の歌手の方から年賀に共感の感想を頂き、次の言葉が座右の銘だと言ってくれました。
僕も大好きだった言葉を思い出させてくれました。

「大切なものは目に見えないんだよ」(星の王子さまのキツネの言葉)