5月5日、今年も谷川俊太郎さんは来てくれました。
5月17日、カテリーナ古楽合奏団の演奏会も終りました。
色んな事があり、ようやく色んな事を色々振りかえる余裕が出て来ました。
まあライブはいくら語ってもその場に居た人にしか伝わらないので、多くは語りません。
写真はNHK高校講座に出演された時の谷川さんのプロフィール紹介をテレビごとiPhoneで写しました。
うちのビデオは谷川俊太郎さん、山下洋輔さん、坂東玉三郎さん、この3人の名前の出ている番組は自動的に録画するように設定されています。だから見逃しはありません。
因みにこの背景、よく見るとロバハウスの2階のプライベート食堂です。
この写真、色んな所でよく使われています。背景と谷川さんが良く合っているのだからだと思います。
谷川俊太郎展でもがりゅうさんが進呈したロバの置物が幾つか飾ってありました。
お話ししたいのはこの高校講座のために作られた谷川さんの詩です。
NHK高校講座では杏林大学の金田一 秀穂さんとタレントの滝沢カレンさんが谷川さん宅を訪問し、カレンさんが詩を書いて来て、それを谷川さんに見せる。
谷川さんがなかなか良い詩だねと褒めると、金田一さんがこれと同じテーマで詩を書いて欲しいと無理なお願いをする。
それで少し時間をもらって書かれたのがこの詩です。
宝だから
ほんとに大事なものはあるだけでいい
ほんとに大切なヒトはいるだけでいい
何でも誰でもあることいることで始まっている
朝 空がある 曇っていても晴れていても
昼 友だちがいる 気が合っても合わなくても
夜 働く人がいる 君が夢を見ている間に
たまには人間やめてもいいんじゃないか
キノコになって森にいてみる
クラゲになって海にいてみる
コトバになって意味やめてみる
声になってアンナプルナを呼んでみる
自分にもどってぼんやりしてみる
生きていれば毎日毎時が宝だから
目も耳も口も鼻も手足も忙しい
シニカルな大爆笑も宝石みたいに輝いて
色んな解釈があり、色んな感動、色んな感想があるでしょうが、悩める人間にとってはこれほど救われる詩はないのではないかと思いました。
ものもヒトも存在するだけで良くて、人同士の協調、期待、しがらみなどに悩む必要はない。
一度何にもなくなって、自分もなくなって、知能や思考も全て意味をなくし、そこでようやく生きている事のありがたみを噛みしめることが出来る。
それってまるで禅宗で悟りを味わうようなもので、読んだ人が全てから解放されて、とても爽やかに身体の血が流れて行くことを感じられる、そんな光景が映りました。
悩める高校生がこれを読んで感覚にヒットしたら、道元の正法眼蔵を読むよりずっと解りやすく簡単に救われると思います。
この詩に出逢って感じた事はロバハウスライブの時に谷川さんにも直接伝えました。
この詩を載せて良いものかどうか迷いましたが、NHKがそのまま載せているし、谷川さん自身もこの詩をネット上にアップし、誰にでも読めるようにするとおっしゃったので、あえて載せました。
詩集になったらぜひちゃんと買ってください。このような詩が無尽蔵にあります。
こんな詩に出逢える高校生は幸せだと思います。
そして、こんな自由で美しい言葉の世界の日本に生れたことは幸せと感じることでしょう。