新型コロナウイルス感染症=COVID-19 の発生から半年が経とうとしています。
日本は感染拡大を押え込んでいるなどと世界から評価されたりしています。確かに西欧を始め他の国よりは感染者数、死者数の割合も極度に低く、韓国などと同じように感染は少ないでしょう。でもそれは政府の適切な対処で押え込まれたのでしょうか?
日本は国として何をしてきたかというと、厚労省内に2月末にクラスター班を設け4月初めに「緊急事態宣言」を発令し、病院はマスクや防護服の不足の中、必死の努力で医療崩壊をさせないで頑張ってきました。
しかしながらPCR検査が少ないと言っていたのは3月の半ばであり、あれから2ヶ月以上経つが検査が増えているという話はまだ聞きません。感染数が減ったとは言え検査が増えなければ第2波を防げないでしょう。
4月半ばには一律給付金、持続化給付金を決定しました。持続化給付金は電通などIT部門を外部に頼むことにより若干動きが速いようですが、一律給付金は都市部ではようやく申込用紙が各家庭に届いたペースです。
日本が感染者数が少なくて済んでいるのは単に運が良かったと言えます。日本を含めた東アジア地域ではその原因は解っていませんが、総じて感染者は少ないのです。生活習慣も有るかも知れませんが、日本は何とか押え込んできました。
それを国が動くことで拡大を防げたかというと、ちゃんと動いていればもっと拡大を防げたと思うのです。
緊急事態な時ですから、こう言う時こそ無駄に多い手続きなどをバイパスして如何に経路を短くするかが必要となります。「自分の責任で・・・」とリーダーシップを取れる人が公務員の中には多くはいないのでしょうか?
ただ大事なのは動くに当って、これを行って間違いはないか、国会ではなく専門家の意見は聞く必要はあります。
今回、特に2月の終りに総理は独断で小中高校などを3月2日から春休みまでの間、臨時休校するよう要請を出しました。この判断は結果的に良かったにせよ、もっと早くから準備をしてその休校を生かせる状態を作り休校が始れば、子どもたちだけで亡く親や学校もどんなに助かったことでしょう。緊急事態宣言も出すならもっと準備して説明して、理解させてからならもっと国民も協力したでしょう。どうも政府のプライドと経済と様々な都合でギリギリまで踏ん張って、最後は押切られた感があります。
100年前の日露戦争の頃、陸軍の医者としての森鴎外もプライドを捨てられずに2万7千人以上の戦士を殺してしまった同然のことをしています。海軍に対抗して麦飯を出さなかったため多くの人が脚気で死んでしまったのです。司馬遼太郎の「坂の上の雲」でも鴎外のこの独善的な行為を相当怒って非難しています。鴎外は生涯この事の罪を認めませんでした。
結局今の総理は、独善的なプライドで動くとこの森鴎外と同じような結果になった可能性があるのです。本当は早い時期から専門家の意見を取入れ、最初から出費をケチらなければ早い時期から準備をして明瞭な采配が出来たはずです。それ以外の所で検査のバイパス化や給付金のシステムなど、リーダーシップで改善してスピードアップできる方法を模索できたと思います。
我々音楽家や演劇人は緊急事態宣言解除後も最後まで正常な形での公演は簡単には出来ないでしょう。少額の給付金を貰ったところで、一度活動を停止してしまうと生の舞台は簡単には帰ってきません。
自然淘汰と言えばそうなのかも知れませんが、「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ」と言ったドイツのメルケルさんの言った言葉くらいは発して欲しいです。共産党に言われたなどというプライドは捨てて。