子ども劇場の9月15日〜10月4日までの九州ツアーが決ったのは去年で、のり日を含めた20日間のうちに実にこれだけの演奏会を開いた。
「わいてくるくるおんがっかい」壱岐 福岡 諌早 長崎 大分 中津 飯塚 鹿屋 都城 全11ステージ
「楽器の国へようこそ」 鹿児島 春日 福岡 全3ステージ
0〜3才のためのコンサート「ポロンポロン」 壱岐 春日 諌早 長崎 大分 飯塚 鹿屋 北九州 全13ステージ
特に台風の多いこの時期、天候の不安もあったが、実際にはコロナの問題で開催自体がどうなるか解らなかった。仮に開催が可能であっても、演者のマスク着用や歌や吹奏楽器の禁止など様々な障害が立ちはだかることは覚悟しなければならないと思っていた。
そもそもちゃんと公演が成立つのか、お客さんも舞台に反応してくれるのか、東京から来たならPCR検査を受けないと舞台を使わせないのでは、等々不安は山ほどあった。
ところがである。子ども劇場サイドもホールサイドもその制限を設けるようなところはほぼ皆無で(注意を促すところはあっても)、本当に私たちを暖かく迎入れ、観客ほぼ全員がマスクをしているという以外はまるで普通の公演と同じように振舞って出来た。
東京近郊の公演先では未だに演者のマスク着用や歌や吹奏楽器の禁止など、真面目に条件を出してくるところがある。別に九州がコロナに対して頓着がないわけでは無い。芸術、文化に対する考え方の違いだと思う。
驚くことに全ての公演が受入れられ、良く聴いて心から喜ばれた。これだけの公演を毎日やっていればどうもこの日は観客と噛合わない。何か反応がイマイチだ。ロバの音楽座も音が合わない。などと2〜3の公演が納得できないことが必ずある。しかし全ての公演が大成功したと言っても過言ではなく、我々が勝手に思っているだけでなく素晴しい感想や反応を表現してくれる。
思えば殆ど出来なかった音楽会を親子共々本当に心待ちにしていたのかも知れない。コロナの時期だからこそ演奏の一音一音を大事に受止めてくれたのかも知れない。もちろん我々も時間があるからこそ準備万端で迎えた。制作意図をなかなか微細なところまで読取ろうとしてはくれないものだと思う。求められて聴いてくれるなら本当にスポンジのように音が染み通ってくれるような感覚だ。
アンコールにはこのコロナ禍と同様に考えさせられた、東日本大震災の時に生まれた「ゆめ」が相応しいだろうと言うことになり、がりゅうさんは歌う前に「この『ゆめ』の後に皆がマスクを外して森で輪になって歌い踊っているところを夢見ながら演奏します。」と最後にガランピーダンスを演奏した。それに対して会場で子どもも大人も歌い踊る姿は「なんだ、夢はもうすでに叶ってる・・・」と思い、なんかとても熱いものが込み上げてきた。
我々にとって(劇場にとってもそうかもしれないが)間違いなく奇跡のような20日間(公演日は17日間)だった。体力的には歳も歳なんで帰ってからは動けなくなっている状態だが、心は何とも清々しい。加えて天候にも恵まれてまさに奇跡の旅となった。
演奏会の舞台写真は個人では撮らなかったが、晴やかな桜島のフェリー(鹿児島から鹿屋への移動時)からの動画を載せておく。この風景から無限に音が沸いてくる。
後日、その映像に鹿児島湾から観た桜島の風景にプサルテリーを中心に即興的に音を付けてみました。
ソロも伴奏もダイレクトカッティングのように一発録りで、音楽は未編集の状態です。