Tessey Ueno's blog

古楽系弦楽器を演奏する上野哲生のブログ。 近況や音楽の話だけでなく、政治や趣味の話題まで、極めて個人的なブログ。

2021/06

今日、らくりん座から訃報を受けました。
ここ15年くらいらくりん座で殆どの仕事を一緒にしてきました。
印南演出は人間の気持ちの受け渡しの必然的な反応、それが積み重なり人間の営みの面白さが伝わってくる。気を衒わず面白い芝居を自然に構築していく、その基盤となる人間観察がいつも成る程と納得させられていました。
いつも音楽を気にいってくださって、ほぼこちらの意見ややり方を尊重して頂き、多くの良い作品を作る事が出来る事が出来ました。

あんなにらくりん座やなすので動画や写真をいっぱい撮ったのに、印南さんの写真がほとんど無いのでがっかりしました。これはらくりん座のfacebook等から借りました。
でも印南さんの生きた軌跡は東京芸術座やらくりん座、劇団なすの、それらの中にしっかり見ることができるでしょう。
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印南さんの演出はそれぞれ違ったものや生き方を大事にしている人と人とがぶつかり、そこでどうしても表に出せない気持ち、我慢、ジレンマ、そんなどこにでもありそうなリアルな絡み合いを描くことで自然と人間の面白味が浮き出て来ます。奇を衒った事はしなくても、ちゃんとそれぞれがその立場を表す事が出来れば、ひとりの脇役だってその中で面白味の一端を担っていると思います。
印南さんはそれをさらに一人一人掘り下げてリアリティを気づかせて行く。自らも役者の心にズケズケと入って行き、小さな「個」の感覚で演技している状態を掻き回す。本当にそのものになったら何を感じるか?時には弄り、セクハラギリギリのところまで心の中まで引っ掻き回します。まさに人と人とはここまで曝け出しながら徹底的に関わってやりとりしながら生きているんだと、つまりはそれが演劇なんだと・・・。
僕はいつもそれが印南さんの面白さだと思うし、演劇の面白さだと思います。
今はもうその姿を見ることは叶わないけれど、彼の演出作品の中に全てがちゃんと残っているのです。
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僕が知る限りの、らくりん座の「あらしのよるに」「いっしょにいこうよ」劇団なすのの「那須野の大地」はぜひ印南さんの体温の残っているうちに観て欲しいと思います。
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5月26日(水)発売されるシングルCD 小椋佳&林部智史 / ラピスラズリの涙のDuetバージョンの録音にプサルテリーで参加しました。冒頭からかなり随所に目立った形で登場しています。
これはそれに先立って作られたMusic Videoですが、僕も何カ所かに録音映像で登場します。

YouTubeでお聴き下さい↓

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 「曲の出だしに奏でられた楽器の奏でるメロディーが何とも言えぬ哀愁哀しみを表現していますよね。」などとこの音に気になった方の投稿もいくつかありました。
こういったジャンルは初めてなのですが、現代の楽器との違いが音によって感じて頂けるのはとても興味深いと思いました。

 

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