Tessey Ueno's blog

古楽系弦楽器を演奏する上野哲生のブログ。 近況や音楽の話だけでなく、政治や趣味の話題まで、極めて個人的なブログ。

2022/09

一昨日は札幌で古き良き友人たちとの再会があった。うち3人は僕とは実に53年ぶりの再会だ。
僕の視点に立つと室蘭栄高校1年の時の合唱部のメンバーが中心で、音楽に対する姿勢に僕が深く影響を受けた輩たちだ。
一年先輩の平井さん(一応先輩なんで「さん」で)も誕生日が僕と20日位しか違わない早生れで、全員69歳の爺さんである。以後、全ては僕の視点で語らせてもらう。
eikou

一番手前の海保君は当時一番仲が良く、サイモンとガーファンクル、ウォーカーブラザース、一連の日本のフォークなどの歌をよくハモって歌っていた。まあ音楽が好きで何かというと彼とギターを抱えて何でも歌った。ただなぜかビートルズを好きになれず、「なんでこんな音楽を好きなんだ!」と全く遠慮の無い性格だった(今は大好き!)。彼とは大学1年の時会う約束をしてドタキャンしてしまい、それ以来53年間行方知れず、今回やっと逢えた。
海保君
海保君と歌うサイモンとガーファンクル

海保君の横から顔を出している平井さんは当時シンガーソングライターで、僕より早くNHKの「あなたのメロディ」に出ている、クラス対抗の合唱祭にも自作の曲をガンガンぶつけてくるほどの主張の強い作曲家だった。平井さんとは10年ほど前に同じ合唱団の先輩が子ども劇場の事務局で僕のことを教えてくれて、室蘭公演で逢うことが出来た。ロバの音楽座が室蘭方面に行くたびに何度か逢ったりしていた。

一番右の板東君はクラスは違ったが、ポピュラーの名曲を混声合唱アレンジして合唱祭に出したり、当時の僕はその4声部の譜面を見てただただ「すげぇ」と憧れていた。なんでも親が音楽家で僕は勝手に将来的にも音楽の道を約束されているような存在だと思っていた。実際には平井さんも板東君も音楽の仕事には就かなかった。

僕の隣の当時から「左門」君と呼ばれていた松本君は合唱部ではない。ただ当時より現在の方が親交が深いかも知れない。アイヌの神謡集を書き19歳の若さでなくなった知里幸恵記念館の理事長をやっている。繋がりはFaceBookなので、実際に彼と逢うのも53年ぶりだ。先日無くなったおおたか静流さんとも親交があり、共に悲しんだ。知里幸恵記念館の事はまたゆっくり書きたい。「左門」は巨人の星から来ている。

この53年ぶりの再会は何一つ「変んねーな」で、会話はどんなに歳を取っても昔の若い頃のままの口調になる。僕は実際には一年間しか在学していないので、出てくる名前の半分は知らない。何人かは死んでしまったり、どうしているか解らない人もいる。このメンバーともまた逢えるのだろうか?
室蘭には家からすぐそばに太平洋と大岩が目の前に拡がる当時は誰も居ない自分だけの浜辺=イタンキ浜があり、その場所で自分を見つめ直し、まだ未熟な演奏技術しかない、平井さんや板東君のような先を行く音楽家に追いついてない僕はどうやって音楽で生きて行くのか真剣に考え声を発した(逆に言えば、音楽以外の事でとても生きていけるような自分ではないと思っていた)。 結局は自分にしか出来ない、人の出来ない事を求めていけば良いのだと決めたのがこの浜辺だ。簡単な事のようで、こんな環境がなければたどり着けなかったかもしれない。 あの高校で過した一年間はただの懐かしい記憶とは言えない、かけがえのない貴重な日々だった・・・・ああ、これは征三さんの「絵の中・・・」の台詞のコピペだ。でもまさしくこの言葉がしっくりくる。 (合唱部の写真も載せたかったけどどうしても見つからなかった。誰か持っていたら下さい。)

突然の訃報に驚かされました。何とあのおおたか静流さんが昨日亡くなったらしいです。まだ信じられません。僕にとって日本で最も尊敬する偉大な歌手だったです。
最初、彼女の声を聴いたのは1990年頃のNHK大英博物館のテーマで、最初はブルガリアの歌手を連れてきて録音したのかと思えるほど、異国情緒にあふれた声で、その日のうちにCDを買いました。CDの他の曲も素晴しかったです。「古歌」「水の精霊を呼ぶ歌」「母なる自然」などおおたかさんの作った名曲もあります。当時は式部というユニットで、おおたか静流は初めて聞く名前で、その中で様々な声を使い分けているのがまた凄いと思いました。
その後、比較的近い所で遭遇し、ロバの学校にも息子を連れて参加したし、今まで何度とロバと共演をしました。レコーディングもしました。様々な音色を持つ声だけで無く、声の即興をさせても多分何時間でも一人でやり続けてしまうほど発想が自由で、そこはスィングはしませんがジャズそのものです。
自由の森学園で声のワークショップをやりDVDにも残っていますが、それも素晴しい現象を魅せてくれます。
とにかく歌は自由でした。悲しみ、喜び、神秘、笑い、様々な要素を声の中に取込み、また一人多重の重厚なサウンドも作ってしまいます。
日本語で遊ぼは言うまでも無いでしょう。実際にもっときわどい即興を彼女としたかったです。
美空ひばりが細かな表現力で歌い上げるのに対して、おおたかさんは無垢のまるで子どものようであったり、時にはあえて表現をしすぎないで淡々と歌う中で後ろの背景が見えてくる、そんな歌い手だったと思います。
歳のことは舞台上では言えませんが、僕と同じ69才でした。歳を感じさせない本当に可愛らしい人でした。毎年、僕の作る動画年賀を送ると必ずハーモニーが綺麗だとか、色んな評価を頂きました。
ある意味、僕等と同じ様にジャンルに当てはめにくい特殊な歌手だったのかも知れません。日本ではもっともっと評価されても良い歌手だと思います。もうちょっとご一緒したかった。
写真は多分2007年に共演したロバハウスライブの打ちあげの写真です。癌だと言うことで、早期であれば何とかなった病気です。それだけに残念です。ご冥福をお祈りします。
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FaceBookでの皆さんのコメント
松本 徹

本当ですか? 残念極まりないです。ご冥福をお祈りします。

上野 哲生

彼女はアイヌ、沖縄を始め日本の民謡、昭和歌謡、エストニアを始めとする世界のカントリーミュージック、様々な要素を自分の声に取込み、自分の歌として磨き上げてきました。こんな自由な人が不自由を強いられるなんて、世の中はいつも何でこうなんだと思ってしまいます。
僕が総理ならおおたかさんは間違えなく国葬にします。



松本 徹

おおたか静流さん、銀のしずく記念館で2度コンサートをしていただきました。
まさにアイヌの歌唱に取り組んでいます。「銀のしずく」の歌も作られた。
なにより学徒出陣させられた画学生を取り上げた『あの夏の日に』を、僕は戦争を考える教材にして、高校生に、また教育系大学生に味わってもらった。永遠に心ふるわす歌声とともに



Satsuki Tajima
大好きな方でした。
子ども達が小さかった時はNHKの「にほんごであそぼ」をずっと観てました。ご冥福をお祈りします。



上野 哲生

我々が音で遊ぶなら、彼女は声で遊ぶでした。まだその辺りで歌ってくれている感じです。悲しい・・・



Yuko Funo

亡くなられたなんて。
この写真のライブの時、遼太と聴きに出かけました。 忘れられないコンサートです。 「今日はね、海を持って来たの」っておっしゃって、ザーッザーッと箱を傾けながら、 波の音を聴かせてくださったこと、覚えています。 日本語であそぼ 大好きでした。 その時に買い求めた大英博物館のCD、今聴いています。 ご冥福をお祈りします。 



上野 哲生

そうだったですか?ライブトークも上手かったですね。
波の音や、お手玉の伴奏だけで歌い続けられる人ってそうはいないと思います。
大英博物館のCD、なかなか興味深いことをやっているんです。たまに聴きたくなるのですがどこに閉ったのかなかなか見つからず、CD販売もしていないようです(iTunes musicも無い)。こういったものはPD(パブリックドメイン)にして日本の遺産として誰もが聴けるようなものに認定して欲しいです。



こまつ えつこ

しずりん。
かなしくて。とても大事な大きなものを失ってしまった気がします。 哲生さん、 こちらをシェアさせていただいてもよろしいでしょうか? 上野 哲生 返信とても遅くなってしまいました。もちろんです。シェアしてあげて下さい。妖精さんのことをいつまでも忘れないように。



高山 みな子

私も驚きでした
前々から素敵な声と思っていましたがWARMADのライブを見たすぐあと、ロバの学校でお目にかかりもっとびっくり
本当に残念です



上野 哲生

病気だったという事実すら知らなかったのが、何かもどかしいです。何か生前に話しておきたかったこととか、こんなことを聞いておきたかったとか、今となっては後悔しか出て来ません。



松岡 美子

田島征三さんの応援ならと、講演を企画したら来てくださって歌ってくれたり、征三さんとのかけあいをしてくれたり。長男が小さいときにおおたかさんが野外でのコンサートで、自然の風、木の実がパラパラとドラムに落ちた、それをすべて音楽とするおおたかさんの歌声に子どもながらに感動していたのを思い出します。本当に素敵な精霊のようなおおたかさん。心からご冥福をお祈りいたします。



上野 哲生

ロバの音楽座の本来のキーワード「なんでも楽器になるんだよ」を声の世界で自然に実践し、まさに同じ世界を求めている同士として感じてきたと思っています。何でもあり、全てを受入れる生き様そのものが、分け隔て無い平和に満ち溢れていた人だったんだと思います。 

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