Tessey Ueno's blog

古楽系弦楽器を演奏する上野哲生のブログ。 近況や音楽の話だけでなく、政治や趣味の話題まで、極めて個人的なブログ。

2026/01

北海道室蘭栄高校時代の同級生で、同じ合唱部、同じ音楽を目指す者として勝手にライバル視していた友人の板東寛之君。
彼は修学旅行で魅せられた古都の寺社仏閣を撮り続け、仏塔と古都の春秋風景の撮影に全力で取り組んでいる。今回、六本木にある東京ミッドタウン ミッドタウン・ウエストのFUJIFILM PHOTO SALONで「塔を巡る」という写真展を開いた。
その彼が生涯魅せられた塔=日本の五重塔の正体を知りたくて、写真展に行った。

板東-写真展
五重塔と言えば、梅原猛の「隠された十字架」の法隆寺の聖徳太子鎮魂説をひたすら背負ってきた程度の知識が無く、法隆寺の塔の中を見たことはなかったので(これは今日理由が解ったが)、五重塔自体の不思議や魅力について深掘りはしてこなかった。
今日、彼は30分に渡り、自分の撮った日本にある五重塔の解説をしながら、その魅力、そこにあるごパワー、秘められた歴史、その入門扉全てを凝縮して話された。

板東君
まず知らなかったのは五重塔は五階建てで天守に上ればさぞ眺めが良いものと勘違いしていたが、中は言わば太陽の塔や提灯と同じ空洞なのだ。それぞれの階?は床が無いのだから、修理の時以外人は登れない。当然中には入れない。
そして塔の上に立つ心柱(しんばしら)は回転灯籠のように(回転はしないが)上と下のみが塔との接点で、他は塔に触れていない。耐久性に強いヒノキやケヤキで作られる事が多く、この構造と相まって、耐震には驚くほど強いらしい。塔はもちろん仏教の伝来と共に中国を経て朝鮮半島を経て、姿を変えて日本に伝搬したのだが、どうもこのスタイルは日本にしかないらしい。

板東室生寺

心柱の上は鉄を使っている。だから一番の天敵は雷で、火災で焼けることが多いらしい。それでも木造建築なのに日本に60塔ほど残っているらしい。仏のご加護か、運も良いのかも知れない。
何の目的で塔があるのか。下から「地・水・火・風・空」を表していることは知識としてあったが、四重塔や六重塔は存在しないらしい。奇数は「陽(能動)」、偶数は「陰(受動)」と言われているらしい。
板東-瑠璃光寺
ここから先は僕の推測でしかないが、僕はどうも素数がすでに理解されていたのではないかと思っている。2,3,5,7,11,13,17…これらの数の妙を知っていたギリシャの学問がすでにシルクロードを経て日本にもたらされていたと勝手に思う。ピタゴラス教団のマークは五芒星だし、ゾロアスター教の聖数は7だし。まあ、こじつけにしか感じないかもしれないが。(安倍晴明と五芒星についてこのBLOGの↓のリンクへ)
五重塔を写真に収めるのは庇が長いため日中は影が出来やすい。普通に写すと真っ黒になる。夕方や日の光の角度を考えなければ良い写真は撮れないらしい。全ての写真はこれが一番良いショットだというのが、話を聞くと改めてそうかと思うところが多かった。これらの写真は塔が永遠に保たれるように、塔の写真のスタンダードとして残っていくに違いないと思った。
板東-備中国分寺

東京は29日まで、富士フイルムフォトサロン 大阪=2026年2月13日(金)~2月19日(木) 富士フイルムフォトサロン 名古屋=2026年2月27日(金)~3月5日(木)
お話しも非常に面白かった。興味のある方はぜひ足を運んでいた炊きたい。

拙著「初めての和の音楽」で歌舞伎のこともいくらか触れたが、奥が深い歌舞伎の世界はまだまだ知らないことだらけだ。
今年1月3日の9:30〜のマツコの知らない世界で、「玉三郎が語る歌舞伎の女形の世界」が放送された。情報7daysを毎週予約していたのでたまたま録れていたこの番組、始めからTverで全部を見ることができた。オカマ(マツコ)と女形(玉三郎)という非常に興味深いトークで、知識としてもバラエティ番組としてもとても面白かった。

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玉三郎さんとカテリーナ古楽合奏団は縁があって、1987年、玉三郎さん初演出の「ロミオとジュリエット」で、カテリーナは楽師として一ヶ月間出演した。真田広之さんを始めこの時の役者のそうそうたる面子が凄かった。因みにシェイクスピアの台本にも楽師の台詞があり、がりゅうさんと僕が一言ずつ喋った。
カテリーナロミオセピア

この時、玉三郎さんの凄いと思ったのは、役者の顔色から音楽にまで全て神経を注いでいるところだ。サックバット(トロンボーンの前身の楽器)が少し音程が低かったのか、「サクーバッ、音程が悪いよ!」と言う指摘があった。古楽器の名前まで知っていて、その役割まで細かくチェックしている。
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番組を観てもらえば解るのだが、その女形全ての所作や舞の拘りだけでなく、胡弓を弾かせても箏を弾かせても超一流なのだ。それは天からの授り物だけではない、絶え間ない磨き上げの賜なのだ。大谷が投手と打者を掛持って凄いけれど、さすが人間国宝のレベルはそれを凌駕する。全てが舞台の肥しになっている。

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ただ、玉三郎さんは努力という言葉が嫌いだそうだ。そこは共感できる。ひたすらその役を演じるためのプロセスを遂行しているに過ぎない。殆どが楽屋の中の生活で共演者とも食事も殆どしないし遊びにも行かない。だから楽屋の中が楽しくないと気分が良くないということで、自分のすきな高価なペルシャ絨毯や一点物の化粧道具や衣裳で満載されている。
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「何でペルシャ絨毯?」とマツコが聞くと、
「だって僕たちの芸能はシルクロードから来ているでしょ!」
今回、これを言いたくて、つい長々と書いてしまった。当に玉三郎さんはここをちゃんと押えているのだ。「祇園祭の山車」の様に、これらの唐草模様は日本人の中に自然に染わたっている。

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中国経由で来た猿楽から能になり、歌舞伎になっていく。そんな文化の流れを体感してこそ、玉三郎さんの芸はあるのだろう。
「初めての和の音楽」も日本文化のペルシャルーツ、僕はその事を書きたいだけの本だったと言って過言ではない。
番組でも言うように女が女性を演じるより、男が観た理想の女像を演じる方がより客観的で細部までを表現できるのかもしれない。
玉三郎さんの凄さなんかはこの場でとても言うに足らない。番組の面白さも含めて、Tverならしばらく観られるので、観てない方はぜひご覧頂きたい。

​本年もどうぞよろしくお願いします。
今年の動画年賀が出来ております。↑AI動画も使っています。短いですが、ご覧下さい。


昨年はロバの音楽座44周年を迎え、6月に阿佐ヶ谷で記念コンサートを催しました。
また栄誉ある久留島武彦賞を受賞しました。
11月には狭山公園で「ススキと光のハーモニー」と題しまして、ロバの音楽座の企画で,様々なアーティストやパフォーマーが集い、世界の何処にもないようなフェスが開催されました。
ロバの音楽座は今年、チリンとドロンと共に「ガランピーな音楽会」と題した作品を東京都内を中心に10箇所で公演が予定されています。詳細はロバハウスのスケジュールページへ→

哲生は今年 2月7日  朝8:00~BS東テレの「おんがく交差点」に出演し、プサルテリーをsoloで演奏します。ぜひご覧下さい。

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