4年ほど前に「サバイバルファミリー」(矢口史靖監督)という映画があり、突然全ての電化製品、ガス、水道が突然使えなくなり、家族が生残りをかけた旅に出かけ、最後は当り前の時間、ものの大切さ、ありがたさ、色んな事を感じながら終るというお話しです。僕はこの映画で1曲だけですがサントゥールとリュートで劇中の音楽を演奏しました。(アマゾンプライムでも視聴可。)
この映画、今の世の中の状況と被る部分がとても多いです。今だって政府もたいした事はしてくれなさそうだし、感染を手助けするような動きの人も沢山いるわけで、結局は国や人に頼るのではなく自分でなんとかしなきゃなりません。
今すぐには何も出来ないかも知れないけれど、ウィルスから身を守りながらどうやって生延びていくか、どうやって食料や燃料を調達していくか、これを問われているような気がします。
多分このまま行くと、今までの文明の価値観や社会の在り方がまったく違った世界が訪れるかも知れません。そうなったら政府や県などに頼ることは到底期待できないでしょう。それぞれが個々のアイディアでどう生きていくか考え、一人か、家族か、気の合う仲間同士か、大きな集団を作るか、僕は全く解りませんが、なにか人間としてどう生きていくか、何があれば良いのか、何が幸せなのかをそれぞれで考えて生延びていくような時代が来るのかも知れません。
新型コロナウィルスの影響によって悪い事ばかりではありません。
飛行機が9割近く飛ばなくなり、生産を止めている工場も沢山ある中、空気は綺麗になりCO2濃度の問題も解決しているのです。この頂戴な座禅を組むような時の流れに、人生を見つめ直したり、人間の生き方について考えるようになる人も多いでしょう。
今一度、人間にとってこれからどう生きていくか、何が必要なことか、社会とどう関わっていくのか、大きな転機を迎えるのでしょう。
動物たちはどうでしょう?確かに鳥インフルエンザなど同じような悩みを抱えているのかも知れません。歳を取っても延命をしなければとか考えないでしょう。ただ人間は経済、社会、家族、家、財産、等と失って困るものが沢山ありすぎて深刻に悩み、それを苦に自殺する人が交通事故より遥かに多いです。
動物たちはそこまで失うものが多くないので、悩むことは多くはないでしょうし、少なくとも自殺はしません(レミングは自殺ではありません)。
最低限何があれば、どうすれば幸せに生きて行けるのか、今までの尺度では測れない価値観が必要になるのでしょう。
そんなことを考えるときなのですよと、これだけ奢り高まった人間社会に対するお告げなのかも知れません。
これも僕が音楽を担当している、今年11月に益子で栃木県の茂木町主催のミュージカル公演『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』(いわむら かずお:原作・江藤寛 :脚色/演出)の公演が予定されています。
このお話も簡単に言えば、擬人化した動物たちから見た人間の傲慢さ、価値の違い、不平不満を夜の電車の中で繰広げています。動物たちはそんな中で自分たちで知恵を出して生き抜いているわけですが。
文学や映画、テレビドラマやアニメに至るまで、人間社会の固執した価値観を見直したいという作品は沢山あります。それは観て体験しただけで終りにしないで、この機会に自分の生活価値観を見つめ直す材料にしていければと思うのですが。
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