温品淳一氏、黒川眞一氏(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)らは、ALPS処理水の海洋放出における「正当化」、つまり利益と害を比べ、害は国内外の海産物の需要の減退、1000億円以上という処分予算、数十年という長い期間など甚大であるのに比べ、得られる利益についてはほとんど説得力のある説明はない、と言う。利益について政府と東京電力の説明では、福島第一原発の廃炉作業の進捗に支障があり、陸上でのタンクの保存にリスクがあるなどというが、海洋放出の便益と害では圧倒的に害のほうが大きい、と述べた。
今回の海洋放出が「汚染水だ」「処理水だ」と考える前に、なぜこのリスクを考え無しで始めたのかがよく解らない。中国が日本の海産物を買わなくなるなんて予想できたろうし、風評被害をカバーするために福島の漁業関係者に一体いくら政府は支援金を払い続けなければならないのだろう。
検査上ではクリーンな水を放出しているのだろう。だったらこの水不足の折、海に流さないで生活用水に回したら良かったのに。それならみんな安全性を理解するだろうし、こんなリスクを負わなくて済んだろう。
経産省のALPSが如何に優れているかの説明はある程度理解できるが、取除いた放射性物質はどういう経路でどこへ行くんだろうとか、ALPSのような技術が可能なら水を使わない冷却方法を考えるのが先だろうとか、我々日本人でさえももう少ししっかりとした説明や対応が必要な気がする。
まあ説明しないで事を進めてしまうのは、日本政府のお家芸みたいなもんだけど。
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