予想を裏切って素晴しかった。僕が知る限り宮崎映画の最高峰だと思っている。
確かにストーリーや、作者はなにを言いたかったとか、そんな目で観ればさっぱり解らない。僕は吉野源三郎氏の著書は読んだことはないが、たぶん同タイトルの本とは殆ど関係ないと推測できる。映画は「どう生きるか」がテーマでなく、非現実世界か空想か夢の世界をアドベンチャーしている訳で、どちらかと言えば「どう死と向き合うか」に近いと思う。
この映画に子どもの共感を得る要素はないかも知れない。少なくともエンターティナーではない。ただ僕は直感的になに何かを感じれる子どもなら充分に面白く観られる作品だと思う。その意味では「風立ちぬ」より解りやすいと思う。
つまりブニュエルやフェリーニの映画、ダリや岡本太郎の造形作品のように「なんじゃこりゃあ」と思うようなものを、「訳わからん」と切り捨てるか、「解らないけど面白い」と感じられるか、そんな感覚に近いような気がする。
ジブリ作品に宮崎監督以外の監督作品も多いが、ヒロインやキャラクターが似ていても宮崎作品の絵の動きやアングルは意外性だらけで予測が付かない。絵として面白いから次から次へと観ていて飽きることはない。主人公の着替え一つ観ていても飽きない。
アニメーション作家は結局、絵が命を持ちそれが絵の世界の中で感情を持ち、それが寄り集って物語が出来ることに最大の喜びを感じることだと思う。ただそれを完成させるためには途轍もなくお金がかかり、興行収入が必要で多くの人に共感をしてもらわなければならない。今回はそういう縛りから解き放たれ、本当に作りたいように自由に作った感が強い。
かと言って、果してそこまでわかりにくい作品なんだろうか?僕は大ざっぱに言ってしまえば「こころの冒険」だと思っている。現代は、と言うか大人の世界はお化けなんて存在しないし、神様も実在しない、超能力も霊も存在しないと多くは仮定しているけど、昔の人間や子どもには森の中にものの怪がいたり、屋敷には幽霊や人外がいて呪われたり、悪い事をすれば神様に祟られていた。そんな世界を映像化したものと思っている。
久石氏の音楽も心理とは別の観点から絵に入り込み、少ない音数で巧みに的確に背景を描いていたと思う。米津玄師のエンディングテーマは嫌いじゃあないんだけれど、ちょっと現実感が強くて、もう少し不思議な世界観の余韻が欲しかった。
映画のシーンとしては盛りだくさんで、2時間ちょっとの映画に無理やり詰込んだ感があるが、もう少し要素を減らしてじっくり観せられればもっと良いと思うのだが、それでも「千と千尋」より僕は面白いと思う。皆さんはどうでしょうか?


フェリーニの「カサノバ」の公開時も賛否が起きました。「道」を観て共に感動した演劇を目指している友人と観に行きました。
友人は途中で怒り出しました。なんで「道」の様な映画を作る人がこんな映画を作るんだって。
僕は面白くてまた観に行った口なのですが、当時は僕が面白かった事を友人には伝えられなかったです。
それにしても凄いキャスティングでした。あのお婆さん達の一人一人にそこまでの凄いキャストが必要だったのかと言いたくなるほど。台詞も7人で割るとほとんど無いのに。エンターテイメントでない事をそう言ったところでカバーしたかったのでしょうか?
友人は途中で怒り出しました。なんで「道」の様な映画を作る人がこんな映画を作るんだって。
僕は面白くてまた観に行った口なのですが、当時は僕が面白かった事を友人には伝えられなかったです。
それにしても凄いキャスティングでした。あのお婆さん達の一人一人にそこまでの凄いキャストが必要だったのかと言いたくなるほど。台詞も7人で割るとほとんど無いのに。エンターテイメントでない事をそう言ったところでカバーしたかったのでしょうか?
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