Tessey Ueno's blog

古楽系弦楽器を演奏する上野哲生のブログ。 近況や音楽の話だけでなく、政治や趣味の話題まで、極めて個人的なブログ。

タグ:イラン

nenga20

あけましておめでとうございます。本年もどーぞよろしく。
今年の年賀状です。(クリックで拡大します)
新しい時代、新しい出遭い、環境、想像を絶する様々な出来事を受入れ、邁進していきたい所存であります。
ロバの音楽座は結成38年。カテリーナ古楽合奏団は47年。
琴久は社会人一年生。和婆は93歳を迎えます。
新年の動く年賀はまだ先です。令和元年版他、昨年までの年賀をお楽しみ下さい。
http://magi.o.oo7.jp

music site では配信、新動画に加え、楽譜販売開始です。
https://www.tessey49.com


はたして2020年は良い年になるのか?


年明け早々、とんでもないニュースを聞いた。アメリカによるソレイマニ司令官殺害だ。
この事がどれだけ大変な事か、イランの楽器を演る僕は常にイラン情勢が気になるのである程度は解ることだが、これは第1次・第2次湾岸戦争に匹敵する戦争になる。

イラン革命以降、米とイランの対立は今ここで述べはしないが、今まではイラクに代理戦争(イラン・イラク戦争※)をやらせてイラクの後で武器を回していただけだった。「悪の枢軸」とは名指しで言っていたが、直接手を出せば如何に大変な事になるかは知っていた。

思いだして欲しいのはその後イラクが必要なくなったら言いがかりをつけて第1次湾岸戦争を勃発させた。2003年は、核兵器を持っているという在らぬ疑惑を突きつけ第2次湾岸戦争を勃発させた。イラクには核兵器もウサマ・ビンラディンも結果的にはいなかったが、イラクには謝罪も何もしていない。さんざんイラクをめちゃくちゃにしておいて。
同様にイランにも核を持っていると経済制裁を課し、「イラン核合意」で屈辱的な視察までイランは受入れた。

トランプが台頭してから「イラン核合意」から一方的に離脱し、経済制裁を強めイランを怒らせた。わざわざ火種になるものを突きつけた。
その後に日本のタンカーに攻撃を仕掛けたと言うが、誇り高いイランのことだから宣言もしないでこんなことをやるはずも無い。それに乗じて反応した民間か海賊か、自作自演の可能性だってある。そんな小競合いはすべてイランが仕掛けたことになった。
その大義名分があってのソレイマニ司令官殺害だ。彼が関与した証拠は何もなしでだ。
アメリカはまさに映画「マイノリティ・リポート」の殺人予測みたいなことで処罰が可能になっているようなものだ。

この強引な戦争の引金は太平洋戦争の前にも、ベトナム戦争の前にも仕掛けている。日本も戦争を起した罪はあるものの、それは米の挑発に乗って起した部分は大きい。

皮肉なことに米は核のバランス・オブ・パワーで北朝鮮には手を出せなくなっている。となればもう一つの悪の枢軸=イランに矛先が向く。とにかく兵器を作ることで米はずば抜けた産業を産んでいる。脅威が無ければ兵器は売れない。

こんな世界的犯罪を、秦の趙高(鹿を見て馬だと同意させる)や令和の晋三の側近のようにどの国も何も言えない。
怖いのはこのまま日本もイラン攻撃に尾を振って参加する可能性だってあるわけだ。
これだけの過去の歴史を踏まえて尚且つ米に従うのは、まさしく趙高の言う「馬鹿」か、誇りを失った亡者だろう。美しい日本はどうした。

2020年は本当に良い年になれるのか?気象問題=復興問題=温暖化問題とも切羽詰ってきている。介護問題、少子化問題、山積みとなっている。自分が生きたいように生きられる人がどれだけいるのだろうか?親の介護、復興など、人のためにしか稼いだお金を使えない人がどのくらいいるのだろうか?
その軸になる経済も、多くの会社がイノベーションを起せず古い体質で護りに入るしか無い。みんな毎日、その日を生きるのに必死で新しいアイディアなんか生まれる余裕なんか無い。
米から買う兵器を無くすだけでもかなりな経済補填が出来ると思うけど。
(そんなの買うくらいなら、核兵器を持っていると自爆をしてしまうようなプログラムを開発すれば良いのに.・・・冗談だけど、脅しを含めたそっち方面の開発なら安上がりのような気がする)

オリンピックは好きだし日本の若いアスリートも頑張ってるけど、オリンピック自体に経済を期待してもリスクだらけで意味のない事だと思うよ。台風や原発の復興もまだまだだし、働きたくても介護しかしていない人が恐ろしいほど沢山いるのに。 

※アラビア語のWikipediaではイラン・イラク戦争を第一次湾岸戦争と言うこともあって、まさに米の代理戦争であることを物語っている。その場合2003年のイラク侵攻を第三次湾岸戦争という。 

今まで何度もFBやBLOGなどに書いてきたことだが、アメリカは国民の気持を一つにしたい時、必ず仮想敵国に対して過剰な挑発をする。ない事までを在る事にして戦う理由をでっち上げてしまう。
ルーズベルトの太平洋戦争前の日本への圧力のかけ方。アメリカが仕組んだトンキン湾事件を引金としたベトナム戦争。大量破壊兵器を持っていると断定し始った第2次イラク戦争。他にボスニア、ユーゴと調べればいくらでも出てくる。

今更こんなことは誰でも知っているだろうが、今イランを標的にしているのはこの延長線上にあるとみて間違いない。
今回だって証拠が何も上がっていないにもかかわらず、瞬時にタンカー襲撃をイラン政府の関わるものと断定している。
北朝鮮とは若干友好的なムードが漂う中、この外交を成功させることで選挙に有利になるが、アメリカは仮想敵の一つが減り団結がしにくくなる。選挙にも転じれば不利になりかねない。
イランへのこのタイミングでのアメリカにとっての仮想敵国ランク一位上昇はまさに国がまとまるだけでなく、イランの大嫌いな国内のユダヤ人の支持を強固なものにし、大統領存続が約束されることになる。

つまりアメリカのためどころか、ほぼトランプの個人的な理由でイランの圧力は始ったとみて良い。
日本政府もこの辺りは解っているだろうが、口を出すどころか助言も出来ない。
ただ即座にトランプに乗っかって経済制裁をやるとは言わない。選挙が控えているからだ。
これでもし選挙後にイラン経済制裁に乗っかったりしようものなら、僕は生涯現政権を卑怯者呼ばわりしていきたい。そうでないと信じたいが。

僕はもちろん核兵器廃絶派であるが、戦前に石原完爾が「最終兵器が出て来たらもうそれ以上戦争することが意味がなくなる」と、広島長崎に核爆弾が落ちる前に予言していた。
確かに地球が一瞬でなくなる程の兵器ならば、戦争をする気がなくなるのが普通である。
本来誰もが戦争しても何の得にもならないことを悟るだろうが、ビジネスは別だった。
実際危険をちらつかせながら防具を買わせれば良いのだから、起りもしないし役にも立たない災害防災品を買わせる詐欺商法と同じだ。
仕掛ける方だって実際にカードを切ってしまったらビジネスとしては何の役にも立たない。人質は殺してしまっては役に立たない。市場も自ら壊すことはしない。
そんな中で世界はヤクザの商法に振回され、荒んだ経済戦争の風圧に屈している。

年金問題、介護問題、教育問題、復興問題、全ての大型武器の購入を無くせば解決することなのに。
誰かアメリカの武器至上主義を根絶する方法、是非考えて欲しい。日本も武器のパーツで儲けているけれど。

Queenのフレディ・マーキュリーの映画が公開されてニュースでもFBでも話題になり大絶賛されているが、まだ観ていない。長くなるがQueenの話をしたい。

僕等の時代だとQueenは20歳を過ぎて出会ったグループで、デビットボーイ同様、多感な時期からは既に外れていた。
ビートルズの後、沢山の様々なアートロック(ニューロックとも言われていて文字通り芸術的ロックだが、それはもうロックというカテゴリーを超越した様々な音楽様式の融合体だった)を聴いたが、Queenに似たタイプとしてはハードロックと古典音楽の両面を持ったザ・フーや、少し後の中東や北アフリカ音楽をロックに取入れたレッド・ツェッペリンにすでに多大な影響を受けていた。
当時、同じ大学の女性にチケットがあるからと誘われ、武道館までライブを観に行った。1975年くらいだと思うが、殆ど初めてQueenを聴いた。
コード進行はアートロック時代に比べるとありきたりの進行が多く(もちろん細かな捻りは加えているが)、時にはこちらも着いていけないくらい一貫性がなくぶっ飛んだ信仰をしたり(ボヘミアン・ラプソディー等)、そんなに好きになることはなかった。

21世紀になってから高校生になった息子=琴久がやたらQueenを歌いたがる。なるほど、歌だけ聞いていると何とも凄みがあって自由で面白い。
あんなにビートルズを歌っていたのに、今は流石にもう飽きたという。ツェッペリンは歌わないのかというと、「Zeppelinの歌は『オーベイビー、愛しておくれ』みたいなことしか言っていないけど、Queenはもっと男女の愛だけでなく、友達とか人類とかもっと視野が広い、時折男声愛的な歌もあるけど」と言っていた。なるほどと思わざるを得なかった。
Queenの事は世代的に律子もよく知っていて、同じ頃キムタクの出るアイスホッケーの「プライド」と言うドラマで全編Queenの音楽を使っていたが、これには驚かされた。全く現代のサウンドと言って良い、素晴しくドラマにマッチした音だった。

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同じ頃もう一つ気になる話を聞いた。ボーカルのフレディ・マーキュリーはイラン人の血をひくという話を聞いた。僕はサントゥールをはじめイランの楽器や音楽が大好きで、自分の中にも遠くイランの血が僅かに流れているのではないかと思っているほどだ。(日本とイランの血の関係はここで書くと長くなるので後述する)
Queenの音楽にはペルシャティストは全くと言って良いほど感じないが、ただあの声と発想力と詩のイマジネーションはそういう血から来るものかも知れない。
後で知ったが、彼はパールシーでペルシャ系インド人で、インドで育って高校の時内乱を避けてイギリスに渡ったそうだ。インドに居た頃からピアノを習ってロックバンドも組んでいたようだ。裕福だったらしい。

改めて色んな楽曲を聴いてみると、様々な発見がある。
ボヘミアン・ラプソディーを聴くだけでも色んな工夫がある。何重にも重ねたコーラスは凄いが、その脈絡のない継ぎ接ぎはまさにコラージュだ。それぞれのブロックの手法に一貫性はない。
ビートルズの後期の音の細かな工夫も凄いが、それを遥かに超えている。ア・デイ・イン・ザ・ライフを受入れた僕が、これは当時受入れられなかった。
ギターの重ねも分厚くて凄い。感覚で即興フレーズを弾くのとは違い、かなり計算ずくで音を重ねている。シンセが流行りだした頃こんなサウンドを作っていたから勘違いされないように「no synthesizer」とまでアルバムに書いてあったらしい。

とにかく映画を早く観たい!律子と2人でシルバー割引きで見る約束をしているが、こちらも忙しいのと律子も親の介護があり、時間が取れるのが12月になってからだ。
律子もそうだが、Queenは女性の食いつきが良い。特に日本の女性が欧米より先にQueenを認めていったらしい。
ビートルズは別格だが、それまで男性社会だったロックに女性が参入してきた、彼らはそういうロックなのだと想う。

<日本とイランの血の関係について>
僕にとっては米のイラン経済制裁は故郷に喧嘩を売っているようなものだ。
歴史を紐解けば書いてある事だが、ペルシャは元々ゾロアスター教で、医学・天文学・数学・音楽・文学とあらゆる事に秀でた民族だった。8世紀になって突然イスラム教が台頭してきて、多くの西アジアの国がイスラムに征服・改宗された。ペルシャの多くのゾロアスター教徒は逃げて、一部はインドに(フレディもその末裔)、そして相当の人々が長安の都にまで逃げて来たらしい。それはペルシャのマジシャンとして手品師や軽業師が沢山いたという。
日本書紀などには胡人と言う名で西アジアから来た人たちが日本にやって来たことを書いている。特に遣唐使や鑑真等と一緒に仏教徒となって日本に来たペルシャ人の名前が何人も出てくる。建築の分野で活躍したらしい。松本清張の「ペルセポリスから飛鳥へ」にもその辺りの事が詳しい。
司馬遼太郎の処女作も「ペルシャの幻術師」、西沢裕子の「波斯の末裔」では、主人公の司堂義保もペルシャ人の末裔、文人たちもこの風土を越えた異文化の流れが気になるところなのだろう。
少なく見積って数十人のペルシャ人が日本に来たとして、その人たちが日本人と子をなせば、30代後には一億人を越えるペルシャ人の血の混じった子孫が出来ている可能性がある。計算上のことだが、そのくらい地球はグローバルに出来ていると思う。

そもそも胡人の多くはどこへ行ったのか?
ここからは独自の見解だが、ペルシャのマジシャンたちは日本の忍者になったのではないかと思っている。
忍者の多くは渡来人と言われている。元々飛鳥の時代から伊賀の里に住んだのか、串本に流れ着いた後続派が風摩になったのか、何も証拠はないが、明らかに異文化の発想、伊賀甲賀などの場所、部落問題、人里離れて住む理由が何となくそれを思わせる。

遣唐使と共に来た皇甫東朝は音楽の素養があったらしく「雅楽寮員外助兼花苑司正」に任ぜられている。
個人的には僕がサントゥールやセタール系の楽器に惹かれるのも、ペルシャの音楽に血が騒ぐのも、そういった事が起因しているのではと思う程、先人の魔力に取憑かれている。

僕の愛する楽器「サントゥール」はイラン生まれの楽器だ。
イラン=ペルシャは歴史的に初めてキュロスやダイオレスによる、「徳」によって政治をする意味での「王道」を築いたものだ。
僕が勝手に多くの楽器の発明者として尊敬するマギの故郷であり、ギリシャ文化の真の継承者でもあり、アラビア文化の元にもなった賢者の集まりであり、その一部の力を得て西洋文化が生まれたと行って過言でない。
Darius
アメリカはこの賢者の子孫である国に因縁をつけて経済制裁を強化させ、日本にも大きな影響が出るという。だいたい核兵器疑惑のあるだけで、核兵器を確実に持っているイスラエルを差し置いて経済制裁を受けなきゃならんのだ。
パキスタンの関係が上手くいかなくなると問題をすり替えてくる。
以前クリントンの浮気がばれた時、数日後くらいにアフガニスタンやスーダンにミサイルを撃ち込んで人気を取り戻したという記憶が蘇ってきた。

確かにアメリカは中国や北朝鮮と違って、民主主義であり資本主義の元の自由競争であり、言論の自由もある。
しかし自由競争は戦争産業も大統領選挙も含まれている。 同盟なんか関係ない。
アメリカは自国が得になる事しかやらない。韓国のビジネス界にもイランと付き合うなと圧力をかけたと言うが、日本にも同じように来るだろう。
自国の事しか考えないアメリカなら、案外誰も近づかない中で裏で取引を行うくらいの芸当を簡単にやってのけるだろう。

もめ事を起こしたくはないが、僕に楽器を与えてくれた友人が痛めつけられているのを見過ごす事は出来ない。
誰だってそういうモンじゃないのかな?
結局のところ政治や経済がおかしいだけなのだが、一般アメリカ人だって良識も文化もあるはずだ。
おかしい事はおかしいとちゃんと言って世論を変えていけないだろうか?

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