Tessey Ueno's blog

古楽系弦楽器を演奏する上野哲生のブログ。 近況や音楽の話だけでなく、政治や趣味の話題まで、極めて個人的なブログ。

タグ:ロバハウス

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今年全てのステージが終わった。ロバのクリスマスは全12ステージ。全て完売。面白いように同じプログラムなのに毎回全く違うステージになる。
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これは毎度開場時間にタイムスリップし、微妙に違った世界を新鮮に創り出し繰り返す。そう、これはきっとパラレルワールドに違いない!僕らはこの平和で幸せな光景を何度も何度もその時のみの出来事で体験し続けているのだろう。

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2003年にロバの音楽座は任天堂のキューブゲーム「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル(以下FFCC)」の音楽に演奏で参加しました。作曲は谷岡久美さんです。

FFCC
 
演奏は「ロバハウス」となっていますが、当時ゲームが子どもたちにどのような影響を与えるか、色々問題視されていた時期でもありました。なのでプロフィール等にはあまり大きく取り上げていませんが、我々はこの仕事に多くの時間を割いてしっかりとしたものを提供してきたと思っています。
僕自身もコミックやアニメ好きなオタク的な所はありますが、ゲームは殆どやったことがなく、否定的でも肯定的でもありません。ただ、過ぎたるは及ばざるがごとしで、やり過ぎはお酒でもテレビでもSNSも害はもたらすという考え方でした。
この仕事に意義を感じたのは谷岡さんを始め、スタッフの方々の真面目な取組み、ロバの音楽を好きになり、コンサートに足を運び古楽器と真面目に向合い、ゲームの世界がそこにあるならこの世界を素晴しい景色にしたいというその熱意に動かされました。
録音はロバハウスで半年近くかけてやったと思います。前後して「パンツぱんくろう」の録音もしていた頃でした。
当時のキューブは直径8cm光ディスク 約1.5GBの中に映像やプログラム、サウンドまで1枚にゲームの全てが収録されるメモリとの鎬合いの世界で、基本のガイドや伴奏は電子音で生の古楽器の音をメロディや特徴的な伴奏に重ねて録っていくやり方でした。
楽器の指定から解釈はかなりお任せの状態でデータを頂いていたので、スタッフさんたちを唸らせたい一心でかなり色々こちらのアイディアを盛りこみました。
音楽的にもこちらもだんだん谷岡さんの音楽語法の世界に馴染んできて、やっていくうちに「ああ、こういったサウンドを求めているんだ」というのが解るようになってきました。
もともと古楽器は音の個性はそれぞれ魅力的ですが、全ての音階が出しやすいわけではなく、転調に弱く、音域も狭く、現代楽器のように何でも可能ではないのです。それを遣り繰りして聴かせられるものを作り上げるプロセスは、一般の方には説明出来ないところだらけです。
我々はゲームをやらないのでゲーム機では体験できなかったですが、サウンドトラックで並べて聞いた時はトラッド調であり、古楽風であり、活劇風であり、ホットであり、馴染みやすくとても聴きやすく新鮮な音楽でした。
今回、この「FFCCリマスター」が復刻版のように発売され、それに合わせて「リマスターサウンドトラック」が発売されました。多くは当時の音のリメイクが多いですが、新たに何曲か録音しました。
CD紹介のページの最下部で試聴できますが、音は素晴しく良くなり、どこまでがPCの音でどこが古楽器と言った境目も薄くなり、とにかく気持よく聴けます。初版は3枚組みになりますが、押し並べて聴いてみるとこれだけそれぞれの音が明瞭に出てくるロバの音源もそんなに多くなかったなあと思えるほど、楽器の特長が良くでています。
最近当時FFCCやった子どもたちが大人になってロバハウスに良く訪れます。ロバの舞台を知らないで音だけを求めてやって来た当時の子どもたちが、ロバのHPなどにもFFCCのこの音に出遭って良かったという感想を書込んでくれます。
良いものを作れば垣根を越えて理解し合える。そのことだけでもこの仕事をやって良かったなあと思います。

→こちらからCDの試聴も出来ます。 

5月17日のコンサートからもう3週間経とうとしています。個人的には今年で40年でやってきた事になります。当時僕は一番若かったけど、この8人のメンバーでは僕は3番目に歳を取っていたことに驚きました。
少年の頃からロックに浸り、現代音楽や電子音楽、民族音楽を経てカテリーナに飛込んだ僕は、確かに個人的に様々な音楽に手を染めるものの、やはり戻るところは古楽の世界なのです。
で、今回特に思ったのは、正確に言うと自分は古楽が好きなのではなく、自分たちの演る古楽が好きなのです。

再び11月4日に、今度は本拠地「ロバハウス」で2ステージ演ります。

ロバハウスの小さな空間の中で8人のシェフたちが腕を振い、皆さんの目の前で最高の音の素材を料理します。
何時もこのフルメンバーが揃うわけではないので、ご興味のある方はぜひお聴き逃しのないよう。

11/4(日)  13:30〜 16:30〜
カテリーナ古楽合奏団
「中世ルネサンス音楽会」
出演:松本雅隆、千葉潤之介、上野哲生、岡田啓、斉藤和久、長井和明、松本更紗、蔡怜雄(ゲスト)
会場:ロバハウス

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