音楽屋でもない、垢のようにこびり付いた概念や蘊蓄を捨て去った、何も持たない自分自身を語ろうと思う。
小さい頃から怖がりだった。カーテンを開けると、窓からいつもどでかい眼玉が覗いている気がする。
今だに寝るのが怖い。特に夢から帰って来れなくなる様な気がして、一度目を覚ましたらなかなか寝られなくなる。若い頃から抗不安剤を欠かさず半錠飲んで寝る。それで何とか寝れている。それでも続けて6時間以上寝た事は殆どない。
小さい頃は軽度の吃りだった。そして今だに人の話を聞き取れない。それはまるで外国語を翻訳しながら聞いている感覚でなかなか頭に入って来ない。結局人の話はいくつかの単語を繋げて想像していくしかない。なので理解しないで話に乗ってしまうのを極度に恐れる。人との会話はとても勇気がいる。人と接する事は失礼なことの連続だ。
自分の言いたい事は話せる。でも聞くのは大変な事だ。想像力は養われたかもしれないが。音で会話しろと言えば何時間でもできるけど。
加えて人の顔を覚えない、失願症だ。デカプリオがそうだと聞いた事があるが、僕の場合は加えて名前を忘れる。一昨日意気投合した人がコンサートに来ても、「見たことのある人だなあ」と思うだけで、声をかけられて相槌を打つだけの事も多い。憧れた人がコンサートに来ても「素敵な人だなあ」と、初めて逢う人の様に新鮮だ。
こんな話をするのも、もう良い歳なので痴呆が始まったと思われる人も多いと思う。
でもこれは子供の頃からの事なので、最近の出来事ではない。
話も聞けない、顔は忘れる、話せば吃る、人が怖い、こんなコミュ力のない人間が人並みの事をやって生きていくのは大変だ。
唯一、酒の力を借りると、相手の事は考えず、人の怖さを忘れ、滑舌は流暢に、ある意味酔うと言うより、酒の味わいでそれに気を取られて調子に乗っていく自分が居る。
まあ、そう言った持病があると断っておいた方が、誤解なく人と接する事が出来るかなと、こんな話を長々としてしまった。この防御姿勢も恐怖心の現れかもしれない。






















